村上春樹の作品名でビートルズの曲名を作品の題名やモチフにしたものがノルウェイの森や今回のイエローサブマリンなどのように多いとして、 両者が森の中や海水の中などへの埋没感があるのに対して、「街とその不確かな壁」にビートルズの曲名的に対応するのはfly on the wallということになろうか。 この曲はhttps://collette.blog.jp/archives/80242766.htmlによれば、「この「FLY ON THE WALL」が曲者で、1969年1月のゲット・バック・セッション中のビートルズのスタジオワークや・リハーサルを収録したドキュメンタリー音源で、曲はほとんど未完成、あとは4人のおしゃべり。」 ということらしいのだが、ゲット・バックの原点回帰とfly on the wall壁の上に止まる蠅としての解放感やそれによる視野の広さを獲得した感が伺えるような。つまり、「埋没感」の反対。ビートルズは1969年の翌年4月10日に解散。