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ブラック・ブレット13

745 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で@\(^o^)/:2014/05/19(月) 19:44:59.32 ID:/8Gp5JlO0.net
針のむしろという言葉はこういうときのためにあるのだろうと、連太郎は脂汗をかきながらそう思う。
卓をはさんで蓮太郎の正面には正座しながら不機嫌そうに鍋をつつく木更、はすむかいにはにこにこしている延珠。
そして蓮太郎の横には同じく上機嫌の未織が座っていた。
未織は顔に赤みこそ残っているが、風邪薬とドリンク剤を投与するとあっという間に起き上がれるくらいまでに回復して、今はもうすき焼きを食べるのに邪魔だというのでマスクすら取っ払ってしまっている。
果たして、本当に自分の看病を必要としたのかすら怪しい。まさか家に来るための口実ではなかろうなと思って横目で未織を見る。
ウェーブのかかった長くつややかな黒髪に、明るい色の和服と非の打ちどころのないお嬢様で、お嬢様どうし高貴な雰囲気が木更とよく似通っているが、
だが和洋の趣や考え方など、決定的に異なる部分がいくつもある。
「なんやウチまでごちそうになってもうて悪いなあ、里見ちゃん」
「別に悪ぃ(わりー)ことなんてねぇけど――」
「――あるわ」
目を閉じ黙々と箸だけ動かしつづけている木更がびしゃりと言った。
「私たちはちゃんと具材を持ち寄ってるけど、そこにいる蛇女はタダメシよね? 迷惑な話ね。すぐに出ていってほしいわ」
「あら、おったん、木更? 胸がでかくて顔がよぉ見えんかったわ」
ビシゴキ、という聞いたこともない怪音を立てて木更が握っていた箸が砕け散る。
――オイ、それ俺ん家(ち)の箸ッ!
「ごめんなさい、里見くん。お箸、替えてもらえる?」
小首をかしげながらにっこりとお嬢様スマイルを浮かべる木更――だがその手元だけがプルプル震えていた。
(2巻72-73p)

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